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傍目考 part2「味の翻訳」
2013年3月
パリ
ことしは2013年。25年前は1988年。日本は日の出の勢い。
そこで、あることで、フランスの山岳地帯にでかけたことがあります。別に登山をするわけではない。la plagneとかCourchevelとかいえば、好きな方はすぐわかるでしょうが、筆者は、それを楽しみに行ったわけでもありません。
Savoieという地方で、北側にスイスアルプス、万年筆ならぬMont Blancを眺望できます。
フランスアルプスの山の中です。夕食で何を食べようかとなりますが、メニューを見ると、価格が、鱈(タラ)>鮭(サケ)>牛肉なのです。鱈や鮭はバルト海にあるデンマークのボーンホルム島たりからもってくるとしましょう。
フェリーかなにかでドイツ上陸して、そのドイツをまさに横断、スイスのジュネーヴを通って、アルベールビルあたりに到着するとなるとざっと1600キロ。まあ、小樽の魚を広島に運ぶよりは近いから、どうということはない・・・ともいえますが、たかだか鱈や鮭。日本では、「ねこまたぎ」ですが、フランスアルプスの山中では、牛肉よりは珍味なのでしょう。
天下の「フレンチ」も意外に正直なのだと思いました。その点、「和」で鱈や鮭を使うとなると、かなり勇気がいるでしょうね。「あいなめ」だったらともかく、お客さまが「ねこまたぎ」におカネを払ってくださるかどうか心配です。
でも、本当は美味しい魚ですね。
ところで、なつかしいグラフをお目にかけます。字が小さくてまことに申し訳ありません。時間ができたら、作り直しますが、1980年代のフランスフランの値動きです。縦軸が円(JPY)です。
そのころはフランスフランよりスイスフランのほうが確りしていました(スイスフランのグラフも時間ができたら用意します)。1980年に1フラン53円だったものが、88年には21円。下落率60%。スイスフランは135円が87円に。下落率は35%。フランスからみたら、日本の勢いはまぶしかったと思います。
あれから25年。その頃とはちがった用事で、年に3-4回、パリに行きます。多分、26年度まで続くでしょう。食事は自分で作ることを旨としますから、グルメさんとはまったくほど遠い生活なので、ほんとうは、あまり余計なことは書かないほうがいいのですけれども、3月某日、ふらりと街中で昼食となり、つぎの写真のような鮭をいただきました。
おいしか、まずいかと問われれば、お世辞にも前者とは言えません。でも、この店は、よく入っています。インテリアも悪くはありません。
お店のメニューを頂いてこういうところに披露するのは、あまり感心したことではありませんが、準おのぼりさんということで、ご寛恕たまわるとして、店のランクは推定してください。
友人に聞けば、まあ、繁盛している方とのことです。(あいすみません。メニューをスキャンしてファイルにしたのですが、どこかのホルダーに紛れ込み、いま探している最中です)。
ふと気になったことは、自分の味覚が狂っているかもしれない・・・という点です。
この店を買収する羽目になって、自分で経営せざるをえなくなったら、たぶん、自分でソースをつくって、こうしろと命ずるでしょう。むろん、仮の話ですが・・・。はたして、買収前より客がくるかどうか。やってみなければわからないとしても、考えさせられました。
別のビジネスの世界のことですが、どうも、その業界の日本資本(あえてこうかいておきます)は、M&A、いわゆる会社の合併や買収は上手なのだけれども、あとのリストラクチャリング(restructuring)が下手・・・、せっかく買収してもさっぱり業績ががらない・・・。結局、担当役員は部下に稟議書を書かせて、自分で決裁して、中国資本に安く譲渡して、損金算入して出世する・・・。それでも会社全体は立派だからいいのだけれど、どうしてそうなるのか。また、解けていません。→ 傍目考 part3「文化大革命から15年の西安」へ