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傍目考 part1 「パリの異国料理」

外食傍目 2013年2月 ことはじめ

筆者は、外食以外の仕事のこともありまして、だいたい、年に4-50日は外国出張しています。
パリ・ミラノ、ニューヨーク、上海、ソウルなどが比較的よくいく都市です。

よく行くといっても、タカは知れています。

あと、たまにジャカルタ、バンコック、ダッカ、プノンペンなども行きます。


多少、割烹はかじりましたが、ひとさまのまえにでるほど逆上せてはいません。板場の会話が多少わかる程度です。外食でいろいろ頼まれごともあるものですから、罪滅ぼしのために、いま、中国料理の平凡な店を、都内新宿区で実験店として経営させています。目的は、売上と費用のデータを入手するためです。

筆者は「碁」というような高級な遊びは蚊帳の外です。

ただ、「岡目八目」ということばに昔から関心がありました。しょせん、コンサルタントは「岡目」だからです。
少々、国語の復習をしておきましょう。

 

「目」とは碁盤の目、略して碁盤。

 

「岡」は周辺、周り、近く。「岡目」は碁盤の傍ら(かたわら)。「八目」は八手先、敵の八回目の碁石を置く場所という意味です。対局者の周りにいて対局を見ているとひとの方が、肝心の対局者よりも、八手先を読んでいるものだという意味になります。要は、「当事者より第三者がより先を予測できる」ということです。まさに、コンサルタント好みの4字熟語です。ただ、岡目という漢字より、傍目のほうがエレガントに見えるので、こちらを使います。

 

さて、知ったかぶりはこのくらいにして、このところ、ある調査のために、パリとニューヨークを訪れています。むろん調査目的は秘匿しなければなりませんが、ここでは差しさわりのない範囲で、記述してみましょう。

ウチの実験店くらいのレベル、要は、平凡な立地で、平凡な価格帯で、たぶん平凡な経営者で、さしたる実績はない。ただし、多少頑張ろうと努力している店が観察対象です。

 

それぞれ地元の知人から、以上の条件にひとつ加えて、観察対象店を推薦してもらうのです。つまり、「流行っていること」「よく客が来ること」が加わります。いうまでもなく、いま筆者も弊社も道楽ではありません。星の数や、評論家さんの定評や、日本語の旅行ガイドブックの紹介など、それは当面どうでもよいことです。要は、「客がひっきりなしに来る店」が基本なのです。

筆者はパリやニューヨークに定住しているわけではありません。

客がひっきりなしに来るかどうかは、正直言ってわかりません。そこで、地元の知人の発言が重要になるのです。

 

筆者がコンサルタントとして、結構、高額な報酬を提示されてきた所以は、こういう態度にあるかもしれません。


これまでの筆者が経験した瞬間最高報酬は、B勘で30分100万円です。

支払者はたぶんその倍の額を用意することになります。そのときの会話は相談者に少なくも数億円のメリットがあることですから、安いモノだったと思います。


当時は事情があって、筆者はむろん自分の所得には致しません。周囲の友人は、どうせB勘だから貰っておけ、と当然のごとくアドバイスしてくれました。

でも身綺麗にすることも大切なのです。マネジメント会社に差し上げましたから、彼らは悦んでいました。


筆者は相談内容や顛末を記録して、資料のひとつに貯蔵することで、自信がくからそれで十分なのです。
さて、バブルの頃の述懐はまたあとで言わせてもらうとして、いまの時代にスリップしましょう。

 ニューヨークやパリの…と言うにはいささかサンプルは足りません。まあ、経験論でご海容賜るとして…、中国・韓国料理「繁盛店」の「味」の問題です。

 

客として食するのは筆者です。

 

筆者は「不味い」とまではいういませんが、とても「おいしい」とは感じません。卓上にある調味料を駆使して頑張ったので、多少改善されました。「最初のひと口よりはいい」のですが、結果は、あまりかわりません。でも、客はひっきりなしに来るのです。


ここで、2つほど、問題提起をしましょう。


問1:こんな味なのに、どうして、ひっきりなしに客がくるのでしょう。
問2:この味を「こう」変えたら、もっともっと客が来るでしょうか。


この場合、問1は問2を解くためのキーになります。

 

しかし、このキーとなる要因を探すのはなかなか難しいですね。

むろん、仮説演繹的に考えれば、費用は安く答案ができます。当たりそうならコンサルタントとして儲かる局面です。まさに「傍目」論考なのですが、うまく展開するでしょうか。


問1を十分に検討することなく、あせって問2に走りましても、当たればご同慶の至りです。しかし、外れますと、関係者・部門が主要因を推定でません。セクショナリズムがひとり歩きて、思わぬ損を蒙ることになります。

 

つまり、何を反省すればよいかわからなくなってしまします。こういう場面では管理部門と現場が対立しがちです。
本当なら、まさに、厨房の問題解決能力が問われます。だから平素から、そのレベルアップが急務なのですが、これはなかなか難しいですね。
→ 傍目考 part2「味の翻訳」へ

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